栄養士・管理栄養士の求人として多いのが委託給食会社(給食受託会社)の栄養士。
委託給食会社の栄養士というと辛くて大変というイメージがあり、働こうか悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
私も栄養士としてどの道に進むか悩みましたが、委託会社で働くことを選びました。
経験した仕事内容は
- 調理
- 献立作成
- 発注
- 売上管理
- スタッフの教育指導・シフト作成
などでした。
委託給食会社の管理栄養士として4年半ほど働きマネージャー職を経験しましたが、スキルが上がり働いて良かったと思っていますが大変なことも多くありました。
働いていて感じた委託給食会社のメリットデメリットについて本音でお伝えしていきます。
Contents
委託給食会社の栄養士を選んだ理由
委託給食会社のメリットデメリットをお伝えする前に私が委託給食会社の栄養士を選んだ理由を簡単にお伝えしますね。
大学時代に先生や先輩から栄養士の就職先の話を聞いていましたが、
直営の栄養士の求人はかなり少ない
ということでした。
実際に就職活動をしていて病院や介護施設の求人は本当に少なく、しかも大学4年生の冬から春にかけて求人が出てくるため内定をいただけないと就職できないリスクがありました。
と不安がありましたね。
反対に委託の栄養士は
- 求人数が多い
- 求人は大学4年の春頃には出てくる
という特徴があり、安全策を取り委託会社を選びました。
それ以外には委託栄養士として働くと調理現場の実務経験が身につくため、次に転職する際に有利に働くという利点もあったからです。
実際に委託会社を退職後、直営の病院に就職することができました!
後から採用いただいた理由を上司の栄養士の方に聞いてみたところ、
「委託給食会社で調理や献立作成、マネージャー職などの経験があったから。」
ということでした。
実務経験を積むことができると働く選択肢が増えるので、転職する際に強みになります。
委託会社の栄養士のメリット
調理現場の流れを把握することができ、調理が得意になる
委託の栄養士をしていて、最も良かったと思えることは調理が得意になったことです。
大学時代は料理本を見ないと料理が作れませんでしたが、委託会社での経験から料理本を見なくても和洋中なんでも作れるようになったことは良かったと思っています!
料理ができるようになると調理作業がスムーズにできますし、調理現場の流れを把握できるようにもなります。
そうなると献立作成も順調にできるようになるんですよね。
美味しい食事を作る為には料理の作り方や調味料の配分などの知識が必要になるため、料理ができることで良い献立作成ができ、質の良い食事を提供できます。
また、調理場の方々が動きやすいよう作業工程を考えて献立作成ができるようにもなります。
調理に異常に時間がかかって時間内に食事提供できないということも起こりかねませんので現場のことが把握できるというスキルは重要ですね。
調理ができると現場で働く方々からも一目置かれ、働きやすくなるので調理ができるということは栄養士として強みになりますよ。
※現場によっては調理は調理師のみが行い、栄養士は調理補助のところもあります。
様々な現場を体験できる
委託会社が契約している施設にもよりますが
- 病院
- 介護施設
- 学校
- 保育園
- 会社の食堂
など様々な施設で経験を積むことができます。
その施設によって食数や食事形態などは違うため、多くの施設を経験することで栄養士として幅広い知識・経験を得られるという利点がありますよ。
また、働いている勤務先で何かトラブルがあり働くことが辛くなった場合は、他の施設に異動させてもらえるのでその点も良いですね。
直営の栄養士の場合、病院や介護施設、保育園といった特定の勤務先になる為、退職するまで同じ仕事をすることになります。
「ずっと同じ仕事は飽きてしまう」
という考えの方は、様々な職場で経験を積むことができる委託栄養士は向いているかもしれないですね。
実際に私は委託栄養士として働いていた際、3か所の病院で働き30食の小規模から500食の大規模の施設を経験しました。
大規模の施設は仕事が分業化されていることが多く、現場メインだったり、事務メインの仕事になる場合が多いため、専門性を高めることができます。
小規模の施設は調理、盛り付け、発注業務、献立作成など栄養士として一連の流れを経験できます。
様々な現場で仕事することができ栄養士として一連の仕事ができるようになったことは自信にも繋がり良かったと思っています。
昇格・昇進がある
直営の施設や保育所などで働く場合、昇格・昇進といったことはあまり多くありませんが委託会社のような企業の場合は昇格・昇進があります。
私が働いていた委託会社では毎年2000~3000円程基本給がアップし階級も少しずつ上がっていました。
ただ、一般企業と比べると基本給のアップ率は低いですが・・・。
また、昇進もあり現場のマネージャー職に就く機会は割と多くあります。
これは働く現場やその方のスキルによっても違いますが、だいたい数か月~3年ほどでマネージャー職に就くことができます。
責任者であるマネージャー職になると、リーダーシップを発揮し調理場の方々に指示し仕事を行うことができる為、自分が目指す食事を提供できるというメリットがあります。
「利用者様・患者様のために満足していただける食事を提供したい!」
と栄養士としての志が高い方はやりがいを感じられるのではないでしょうか。
役職が上がっていくと
- 給料が上がる
- 裁量権がある
- 会社の重要なポストで仕事ができる
などのメリットもあります。
他の栄養士との交流が多い
委託会社にもよりますが研修会が月に1度ほどのペースである為、他の施設で働く栄養士と交流の機会が多くあります。
直営の場合、栄養士は一人という場合があり、気軽に相談したり悩みを打ち明けることが難しい場合があります。
委託の栄養士は栄養士の数も多くいる為、相談できる環境も多くあります。
仕事現場や研修会で仲良くなると気軽に相談でき、休みを合わせて食事や飲み会に行くことも。
嫌なことがあったらすぐに他の栄養士に相談したり、分からないことがあってもすぐに聞ける環境は良かったですね。
委託会社の栄養士のデメリット
役職がついてると責任が大きくなる
メリットで昇進があるということをお伝えしましたが、これは反対にデメリットになる場合もあります。
昇進することで役職に就くことができますがプレッシャーが増えることにもなります。
例えば、
- 直営の栄養士等から会社にクレームがあった
- 現場の売上管理で利益を出せなかった
- 提供した食事に異物が入っていた
- AさんとBさんの食事を間違えて提供した
こんなことがあれば現場責任者であるマネージャーに責任があるため、仕事の重圧で苦しむことも・・・。
自分がしたことでなくても責任を取って謝罪などの対応をすることになるため、強いストレスを抱えることもあります。
休みが取りにくい・長期休暇がほぼ取れない
これは勤務先にもよりますが病院や介護施設の場合、365日3食食事を提供しなければならず休みが取りにくいといったことがあります。
一般的な会社員の場合、お盆・年末年始・GWなどは長期で休むことができますが委託の栄養士の場合、現場での交代制になります。
(私が働いていた会社では大型連休に出勤しても手当等はありませんでした。)
特にお正月やクリスマスなどは行事食の提供がある為、その期間休むことは中々できない状況でしょう。
また、栄養士は現場責任者であるため、長期で休むことは難しいですね。
実際に私も大型連休はほぼ休んだことはなく、休暇は3日取れたら良いほうでした。
結婚出産後は働くことが難しい
これは委託会社や勤務先にもよりますが、私が働いていた職場では結婚後も仕事をしている栄養士はほぼいませんでした。
栄養士はほとんどが20代の独身の人ばかりでしたね。
現場にもよりますが早番・遅番のシフト制の現場がほとんどの為、ライフイベントが変わると働き続けるのは難しいと感じます。
会社が配慮し、8時~17時までの事務メインの現場に異動させてくれるといいのですが、ほとんどの方が早々に退職していました。
勤務時間帯については、早いところでは4時頃から出勤というところもあります。
私も早番が4時半からの現場がありましたが、小さい子供がいたら働くことかなり難しいのではないでしょうか。
また、欠員が出ている場合その分を栄養士が代わりに働くことになるため残業が増え負担が多くなっていきます。
立場が低い
下請けの仕事であり直営の職員とはもちろん対等という間柄ではない為、直営の方々への対応にはかなり配慮する必要があります。
私が経験した施設3か所のうち2か所は、良い人が多かったです。
先方の栄養士と食事や栄養士会に一緒に行ったり、個人的に年賀状のやりとりをしたり等、良い関係で仕事をすることができました。
ですが、もう一か所は委託側を下に見ていて働きにくい環境でした。
最も大変だったことは個別対応の数が多いことでした。
規模が大きい病院でしたが個別対応の要望数がかなり多く、現場として対応するのが大変だったところもあります。
アレルギーや低体重、疾患により食べるのが難しい等であれば対応せざるを得ないと思いますが、嗜好により禁止の食事が多くありました。
例えば
- 肉禁(ひき肉はOK)
- 魚禁(練り製品はOK)
- えび禁
など。
食札に書ききれないほど無理な要望をしてくる施設もありました。
利用者にとっては良いかもしれませんが、調理現場の人数に対し個別対応が多すぎると対応が難しいことが起こってきます。
その上間違って食事提供してしまうと罵倒され始末書を書かされる為、現場はいつもピリピリした状況。
直営の栄養士がクセのある人の場合、良好な人間関係を築いていくことが大変な場合もあります。
委託という立場から苦労する場合も勤務先によってあります。
ブラック企業に就職しないよう気を付けることは
委託給食会社によって条件面や仕事環境はけっこう違いますが、ブラック企業を選ばないように企業のことを調べておくことは非常に重要になります。
私はよく調べずに就職を決めてしまったので、後悔しないよう入社したい会社の情報は事前にしっかり調べましょう!
選ぶ際はこちらのサイトを参考にすることをお勧めします。
転職会議では働いている方のリアルな口コミを知ることができます。
- 年収
- 会社の雰囲気
- 労働環境(有給取得率、残業時間など)
大学時代は使ったことはありませんでしたが、転職する際に使用しとても役立ちました。
必ず確認し悪条件で働くことがないよう慎重に決めてくださいね。
委託給食会社の栄養士のメリットデメリットまとめ
今回は委託給食会社の栄養士のメリットデメリットのついてお伝えしました。
人によって意見は違うと思いますが私が働いていて感じた感想です。
個人的には委託給食会社の栄養士は現場経験が身に着く、昇進できる等のメリットはありますが過酷な労働環境のところもありました。
委託給食会社では勤務先により働く環境が違いますが、委託会社によって働きやすさや待遇面は違ってきます。
働こうか考えている方はブラック企業を選ぶことがないよう事前によく調べて判断してくださいね。